部活で忙しい選手のための時間活用術。移動・待ち時間の活用、完璧主義をやめる工夫、スマホ通知の管理という3つの視点から、机に向かう時間を増やさずにできる隠れ時間の見つけ方を具体的に解説します。

「時間がない」の正体

「部活が忙しくて、勉強する時間がないんです」

このお悩みは、文武両道を目指すご家庭から、最も多く寄せられます。朝練、放課後の練習、週末の試合。クタクタになって帰ってきて、机に向かう余力なんてない——お気持ちは、痛いほどわかります。

ですが、500名以上の選手を見てきて、ひとつ確信していることがあります。それは、「時間がない」と感じている人の多くは、実は時間がないのではなく、時間が見えていないということです。

まとまった2時間、3時間を確保しようとすると、確かに部活と両立する選手にそんな時間はありません。でも、勉強は必ずしもまとまった時間でやる必要はないのです。

1日の中に散らばっている、15分、20分の「隠れ時間」。これを見つけて積み上げると、思った以上の勉強時間になります。時間は、気合いで「ひねり出す」ものではなく、すでにあるものを「見つける」もの。この発想の転換が、文武両道の第一歩です。

では、具体的にどこに隠れ時間があるのか。3つの視点でお伝えします。

見つけ方1:移動と待ち時間

最初の、そして最も大きな隠れ時間は、移動と待ち時間です。

書き出すと、毎日1時間以上あることが多い

一度、お子さんの1日の「移動」と「待ち」を、紙に書き出してみてください。

  • 学校への通学(電車・バス・徒歩)
  • 練習場所までの移動
  • 練習開始までの待ち時間
  • 試合会場での出番待ち
  • 塾やクラブの送迎の車内
  • お風呂を待つ時間、ごはんを待つ時間

こうして書き出すと、合計で1日1時間以上になるケースが、本当に多いのです。週末の試合の日なら、待ち時間だけで2〜3時間になることも珍しくありません。

この時間は、これまで「なんとなく過ぎていた」時間です。ここに少し勉強を差し込むだけで、机に向かう時間を一切増やさずに、勉強量を増やせます。

スキマに合う教材を用意しておく

移動・待ち時間を活かすコツは、その時間に合った教材を、あらかじめ手元に用意しておくことです。

電車の中なら、英単語アプリや単語帳。出番待ちなら、暗記カードや要点ノート。机がない場所でもできる、「インプット系」「暗記系」が向いています。

ポイントは、「その時間が来てから、何をやろうか考える」のでは遅いということ。考えているうちに時間は過ぎます。前の晩に、明日のスキマで何をやるかを決めておく。これだけで、隠れ時間が勉強時間に変わります。

見つけ方2:完璧主義をやめる

2つ目は、時間の「使い方」ではなく「心構え」の話です。

意外かもしれませんが、完璧主義こそが、忙しい選手の勉強を止める最大の敵です。

「全部やろう」とすると、何もできなくなる

真面目な選手ほど、「やるなら、きちんと全部やりたい」と考えます。今日は問題集を1ページ完璧に、復習も予習も全部——。

ところが、部活で疲れて帰ってきた日に、その「全部」は重すぎます。重すぎる目標を前にすると、人は「今日はもう無理だ」と、最初から手をつけなくなります。これが、忙しい選手にありがちな失敗です。

「60点でいい日」を作る

そこで提案したいのが、「60点でいい日」を意図的に作るという考え方です。

疲れている日は、単語を10個だけ覚える。問題を3問だけ解く。それでいい、と最初から決めておくのです。

100点を目指して0点になるより、60点を確実に積む方が、長い目で見ればはるかに多くの勉強量になります。そして何より、「今日も少しだけできた」という感覚が、習慣を途切れさせません

習慣は、一度途切れると再開が難しくなります。逆に、どんなに少なくても毎日続いていれば、調子の良い日に自然と量が増えていきます。だから、「ゼロの日を作らない」ことが、何よりも大切なのです。完璧でなくていい。続けることが、勝ちです。

見つけ方3:スマホの通知を切る

3つ目は、隠れ時間そのものを「守る」話です。

せっかく見つけた15分も、スマホに奪われては意味がありません。

通知が、集中を細切れにする

勉強を始めて数分、スマホがブルッと震える。チラッと見るだけのつもりが、気づけば10分、20分。これは意志が弱いからではなく、通知という仕組みが、人の注意を奪うように設計されているからです。

一度集中が切れると、元の状態に戻るには時間がかかります。15分の隠れ時間は、たった一度の通知で、まるごと消えてしまうのです。

「集中の15分」を物理的に守る

対策はシンプルです。勉強する前に、スマホの通知をオフにする。あるいは、機内モードにする、別の部屋に置く、家族に預ける——方法は何でも構いません。要は、勉強中はスマホが視界にも意識にも入らない状態を作ることです。

「15分だけ通知を切る」。たったこれだけで、隠れ時間の質が大きく変わります。15分集中できれば、英単語なら20個近く覚えられます。ダラダラ1時間より、集中した15分のほうが、ずっと身につきます。

スマホとの付き合い方は、思春期のお子さんにとってデリケートな話題です。頭ごなしに「スマホ禁止」とすると反発を生みます。「勉強する15分だけ、通知を切ってみない?」と、小さな約束から始めるのがおすすめです。

まとめ:時間は「見つける」もの

3つの隠れ時間の見つけ方を振り返ります。

  • 移動と待ち時間:書き出すと毎日1時間以上あることが多い。スキマに合う教材を用意しておく。
  • 完璧主義をやめる:「60点でいい日」を作ると、習慣が途切れない。
  • スマホの通知を切る:集中の15分を物理的に守る。

最初にお伝えした通り、時間は気合いで「ひねり出す」ものではありません。すでに1日の中にある、見えていなかった時間を「見つける」ものです。

部活で全力を尽くす選手の時間は、本当に貴重です。だからこそ、その限られた時間を、ストレスなく、賢く使ってほしい。隠れ時間を見つけて積み上げる習慣は、勉強だけでなく、これから先の人生でも必ず役に立つ力になります。

もちろん、お子さんの部活のスケジュールや性格によって、どこに隠れ時間があるか、何が続けやすいかは変わります。「うちの子のスケジュールだと、どう組めばいいの?」と感じられたら、ぜひ一度ご相談ください。お子さんの1日の流れを伺いながら、無理のない時間の使い方を一緒に見つけます。


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STUDY ATHLETE 編集部
STUDY ATHLETE は学生アスリート専門のオンライン個別指導です。代表は早稲田大学教育学部卒業、大手予備校で500名以上の進路指導を経験。